【葬儀の疑問】お布施以外に必要?「お車代」「御膳料」の相場と、恥をかかない渡し方のマナーを徹底解説
お葬式の際、お寺様(僧侶)にお渡しするものは「お布施」だけではありません。 実はそれ以外にも、「お車代(交通費)」や「御膳料(食事代)」といった封筒を別で用意するのが一般的なマナーです。
初めて喪主を務める方からは、 「お布施の中に全部まとめてはいけないの?」 「タクシーを呼んだ場合でもお車代は必要なの?」 「2日葬なら、封筒は2セット用意するべき?」 といったリアルな悩みを、現場でも毎日のように耳にします。
今回は、現役の葬儀スタッフの視点から、お車代・御膳料の本来の意味、具体的な金額相場、そして「これさえ知っておけば安心」という渡し方の作法まで、詳しく深掘りして解説します。
「お車代」と「御膳料」の役割と必要性
なぜお布施と袋を分けなければならないのでしょうか。それは、これらが「宗教的な謝礼」ではなく、あくまで「実費に対する心付け」だからです。
お車代(交通費)
僧侶が寺院から式場まで移動するための費用です。
- 必要なケース: 葬儀会館、公営斎場、自宅などにお呼びする場合。
- 不要なケース: 親族(お身内の方など)が僧侶(宗教者)を送迎する場合。
- 特殊なケース: 喪主側がタクシーを手配し、支払いを済ませている場合は不要です。
御膳料(お食事代)
葬儀の後、僧侶に「精進落とし(会食)」を振る舞う代わりに差し上げるお金です。
- 最近の傾向: 以前は僧侶も一緒に食事をすることが一般的でしたが、現在は「法要後はすぐに寺へ戻る」というスタイルが多く、食事の代わりに現金を包むのが主流です。
- 不要なケース: 僧侶が実際に精進落としの席に参加され、食事を召し上がった場合。
【1日葬・2日葬】金額の目安と相場
金額は地域や寺院との関係性によりますが、埼玉県周辺で多く見られる一般的な目安を整理しました。
| 1日葬(葬儀・告別式) | 2日葬(通夜・葬儀) | |
|---|---|---|
| お車代 | 5,000円〜 | 5,000円〜10,000円 |
| 御膳料 | 5,000円〜 | 5,000円〜10,000円 |
迷った時の判断基準
- 2日葬なら1万円が安心: 通夜と葬儀の両日に来られる場合、お車代は「5,000円×2日=1万円」とするのが最もスマートです。
- 距離で調整する: 寺院がかなり遠方(県外など)の場合や、高速道路を利用される場合は、実際の交通費を計算し、キリの良い数字(1万円、2万円など)に引き上げます。
複数人の僧侶が来られる場合は?(ここが重要!)
大きなご葬儀や菩提寺(代々お世話になっているお寺)の場合、導師(メインの僧侶)のほかに、伴僧(ばんそう/脇導師)が1〜2名来られることがあります。
- お布施の分け方: 一般的には一つの封筒にまとめてお渡ししますが、お寺によっては「分けて包んでほしい」と指定される場合があります。
- お車代・御膳料: 基本的には「お越しいただいた人数分」の封筒を用意するのが最も丁寧な形です。ただし、お寺の車1台に乗り合って来られる場合は、お車代を1つにまとめることもあります。
僧侶が複数人になるのは、そのほとんどが「菩提寺」様です。お布施の包み方やお車代の人数分については、お寺ごとに独自の慣習があることが多いため、事前に直接お寺へ「お布施などはどのようにお分けすればよろしいでしょうか?」と確認しておくのが最も確実で失礼のない方法です。
封筒の書き方と準備
「どんな袋を使えばいいの?」という質問も非常に多いです。
- ベスト: コンビニ等でも売っている「白無地の封筒(郵便番号枠がないもの)」
- OK: 黒白や双銀の水引がついた不祝儀袋
- 注意: お布施とは別の袋にそれぞれ入れます(合計3つの袋になります)。
表書きの書き方
- 上段: 「お車代」「御膳料」とはっきりと。
- 下段: 「〇〇家」または喪主のフルネームを。
- 筆記具: 薄墨ではなく、普通の黒い墨(濃い墨)で書きましょう。お車代などは「感謝の気持ち」なので、悲しみを表す薄墨である必要はありません。

安心してください
お布施・お車代・御膳料を入れる専用の封筒は、基本的には葬儀社が用意してくれます。
葬儀の打ち合わせ時や、式の前までに担当スタッフから手渡されることがほとんどです。あらかじめ文字が印刷されているものを用意してくれる会社も多いため、まずは担当者に「お布施の袋はどうしたらいいですか?」と一言確認してみてください。
渡すタイミングと添える言葉
渡し方ひとつで、ご遺族の心遣いがより深く伝わります。

渡すタイミングは「最初」が正解
葬儀が始まる前、僧侶に「本日はよろしくお願いいたします」と挨拶をする際、お布施と重ねてお渡しするのが最もスムーズです。葬儀後は僧侶も片付けや移動で忙しくなるため、最初にお渡ししておくのが一番の親切です。
渡し方の作法
- 袱紗(ふくさ)から出す: 直接手渡しせず、袱紗の上に置くか、切手盆(小さなお盆)に乗せて差し出します。
切手盆は葬儀社さんが用意してくれ、説明してくれます。 - 向きを整える: 僧侶から見て文字が正しく読める向きにします。
添える言葉(例文)
お車代や御膳料は、お布施と一緒にまとめてお渡しして問題ありません。以下の言葉を添えて、両手で差し出しましょう。
- 1日葬の場合 「本日はよろしくお願いいたします。」
- 2日葬(通夜・葬儀)の場合 「本日、明日と二日間にわたり、よろしくお願いいたします。」
「お車代です」「食事代です」と細かく説明しなくても、封筒に表書きがしてあれば、上記の挨拶だけで十分伝わります。
もしも!
お寺様から「食事を辞退します」と言われたり、お布施だけを受け取ろうとされたりした場合は、「心ばかりですが、お車代と御膳料も用意させていただきました。お納めください」と一言添えるのがスマートです。
よくある質問(FAQ)
稀にお寺の車で送迎がある場合や、お寺のルールで辞退される場合があります。その際は無理強いせず、「お心遣いありがとうございます」と感謝を伝えましょう。
葬儀のお香典は新札を避けるのがマナーですが、僧侶への謝礼(お布施・お車代など)は事前に準備しておくものなので、新札で全く問題ありません。 むしろ、汚れのない綺麗なお札を用意する方が丁寧です。
まとめ
お車代や御膳料は、単なる「ルール」ではなく、遠くから足を運んでくださる僧侶への「おもてなしの心」です。
金額の相場はもちろんありますが、何より大切なのは、滞りなく式を執り行ってくれることへの感謝の気持ちです。
もし「自分のケースではいくら包むべき?」と確信が持てない時も、どうぞご安心ください。お渡しのタイミングや袋の準備については、担当の葬儀スタッフが必ず事前に案内をしてくれるはずです。
地域性やお寺様の性格を熟知している現場スタッフに相談してみるのが、最も確実で安心な方法です。きっと、その場に最適なアドバイスをくれるでしょう。
当ブログ『埼玉葬儀ノート』では、こうした「今さら聞きにくいけれど、誰かに聞きたい葬儀の常識」を、現役スタッフの視点から正直にお伝えしています。


